8.29.2014

イロイロイロ|第1回  横から、上から、または並べて。


下東史明

第1回  横から、上から、または並べて。

車体のイロに注目した、まったくあたらしい発想の鉄道本『トレインイロ』が、今回、電子書籍になりました。これを記念して、著者の下東史明さんに、イロとモノの見方についてのエッセイを寄稿いただます。見慣れたモノも、ちょっと違う角度から見てみると…? お楽しみください!(編集部)

『トレインイロ』
書籍版:
朝日出版社ウェブサイトAmazonhontoジュンク堂書店紀伊国屋書店楽天ブックス
電子書籍版:
honto楽天ブックスBookLiveE-honebookjapan | 紀伊国屋書店

★『トレインイロ』の壁紙ダウンロードできます。
http://www.asahipress.com/event/train.html
(全部で8種類。サイズはすべて1024×768ピクセル)


このたび電子書籍になった拙著『トレインイロ』は、鉄道車両を横から見て抽象化していましたが、車両に限定せず対象を拡げれば、モノ一般は、横からだけでなく、もっと数多くの方向から見直すことができます。

見る方向・角度でガラリと見え方が違ってくるという事態は、誰でも経験していることなのです。僕たちは、知らず知らず、モノの一面だけを見てしまいがちであることを、いくつかの事例を通してご覧に入れたいと思います。

Aは皆さん、何に見えますか?

A

多くの人はダーツもしくはルーレットと見たと思います。

次にBをご覧ください。

B

スイカかな?と思われた方が多いのではないでしょうか。

では次のCはどうでしょう?


C


これもスイカを抽象化したものです。
横に並べてみましょう。C'です。

C'

8.14.2014

加藤陽子さんが選ぶ2014年夏に読んでほしい本

全国の書店でフェア開催中・加藤陽子さんがセレクトした、今年の夏に読んでほしい本10冊と、メッセージをお届けします。加藤陽子さんの似顔絵は、牧野伊三夫さんによるもの。選書フェアでは、各書籍の紹介付き小冊子も配布しています。末尾に掲載しているフェア開催書店さんで、ぜひお手に取ってみてください。(編集部)


『〈戦後〉が若かった頃』とは、私の愛してやまない仏文学者・海老坂武氏の自伝のタイトルです。

今ふりかえれば、戦後日本の若さを支えていたのは、大戦争の惨禍をくぐった後の省察に立った非戦力であったことに気づかされます。

日本を支えてきた大前提が一つの内閣の短慮で崩された 「今」、わたくしたちは新たな決意のもとに「記憶せよ、抗議せよ、そして生き延びよ」(井上ひさしの言葉)をモットーに、非戦力を再び獲得するための長い闘いを始めなければならないと思います。

桜のように散り際が美事な国民性には別れを告げ、竹のようにしなやかに強く生きていこうではありませんか。

そのような時に、あなたとともにあって、あなたを力づけてくれるはずの本を選びました。
――加藤陽子