7.28.2017

加藤陽子さんブックフェア

「過去を正確に描くことで未来をつくるお手伝いができる。それが歴史学の強みです」歴史学者の加藤陽子さんが、いま、読んでほしい本、20冊を選びました。「戦争が平場に降りてきた時代を生きる」選書フェアを開催いただいている書店さんでは、各書籍への加藤陽子さんのコメントの入った小冊子も配布しています。末尾に掲載しているフェア開催書店さんで、ぜひお手に取ってみてください。(編集部)

「寓話は、今この瞬間に起こっている戦争には無力であるが、永遠に起こりつづけるかも知れない戦争というものに呼びかける力はある」とは、敬愛する劇作家・野田秀樹の言葉です。

冒頭の「寓話」の二文字には、「歴史」あるいは「学問」など代入可能でしょう。

約140億年前にできたこの宇宙の中に、約46億年前に生まれたこの地球の上で、約20万年前に誕生した我らが祖先、その伝来の知恵を総動員し、地球が廃墟と化すのを押しとどめる時期に今や我らは到達したのではないかと思います。

後から振り返り、正真正銘の「危機の時代」だったと総括される時代が、素知らぬ顔をして脇腹を通り過ぎてゆく時の感覚、その感覚を体感できる本を選んでみました。
――加藤陽子